ベトナム日本文化交流センター専任講師
Ngo Thi Kieu Nga(ゴー・ティー・キエウ・ガー)先生
Ngo Thi Kieu Nga先生は初等教育支援が担当、ハノイの小学校では実際に授業も行っています。今回は、Nga先生が実施した小学校での日本文化体験イベントについて、イベント実施に込めた思いや子どもたちの反応、イベントを実施するときのポイントなどを。

いつもとは違う体験を
―日本イベントを実施しようと思った理由は何ですか?
子どもたちが『日本語って楽しい』と感じられる場を作りたいと思ったことです。イベントでは「体験」を通じて日本語や日本文化に触れることができます。こうした体験は、子どもたちの学びへの意欲を高める大きなきっかけになります。

みんなで「ラジオ体操」
1)イベント概要
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対象 |
Hung Vuong小学校3、4年生(6クラス) |
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参加人数 |
120名(各クラス20名ずつ) |
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担当講師 |
Nga先生を含め5人。プログラム①~⑤を分担して担当 |
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時間 |
120分 |
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テーマ |
春 |
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ねらい |
Ø 日本語の数字表現に親しむ。 Ø 日本の春や桜に関する文化や季節感を理解する。 Ø 歌詞やリズムを通して日本語に親しむことができる。 Ø 協働的な活動を通して達成感を味わう。 |
2)イベントの流れと内容
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プログラム |
内 |
準備物 |
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① |
あいさつ/ イベント紹介 |
簡単なあいさつを日本語で行い、今日のイベントの内容を紹介する。 |
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② |
ラジオ体操 |
数字を数えながら体を動かす。 ※実施前に数字の復習をする。 |
・動画 ・数字スライド |
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③ |
クイズ |
春や桜をテーマにした日本文化クイズをする。 10問程度。 |
・クイズスライド |
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④ |
歌・手遊び |
春をテーマにした:歌詞の中に出てきた言葉を確認したり、手遊びをしたりしながら歌う。 |
・説明練習用動画 ・歌詞カード ・語彙スライド |
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⑤ |
グループ 創作活動 |
グループごとに桜の木を作る。 桜の花びらを切ってはる、木や花びらに色を塗る、絵をかくなど、自由にグループで完成させる。 |
・土台の木の絵 ・桜の花びら ・はさみ筆記用具 |
―120人というと大きなイベントですね。なぜ大規模なイベントにしたのですか?
学年を超えて子どもたちが一緒に活動することで、言語の学びだけでなく、協調性やコミュニケーション能力も育てたいと思ったからです。大規模だからこそ生まれる一体感や達成感を経験させたいという思いもありました。

創作活動に取り組む
―子どもたちが一番楽しんだ活動はどの活動でしたか?
グループで協力して桜の木を作る活動です。時間内に作品を完成させるためにみんなで工夫をしながら頑張っていました。役割分担の仕方や進め方にグループの個性が出ていて、作品だけでなく、作業過程も見ていてとてもおもしろかったです。
―印象的だった場面はありますか?
普段は恥ずかしがり屋の子どもが、友達に支えられて積極的に活動に参加しようとしていた場面ですね。体育の授業などでは遠慮してしまう子が、今回のグループ活動では笑顔で取り組んでいました。こういう意外な一面が見られるのはイベントならではだと思います。

―このイベントをやってよかったと感じたのはどんな時でしたか?
イベントの後、子どもたちが『日本語っておもしろい』『またやりたい』と言ってくれた時に、やってよかったと思いました。学びが楽しさにつながったと感じた瞬間でした。いろいろな準備が報われた気がしました。
小規模イベントからの挑戦
1)学校や他の教師との協力、調整:準備期間をしっかりとり、事前に打ち合わせや役割分担をしっかり行うことが成功のカギです。
2)時間配分や説明の工夫:子どもたちは盛り上がると、指示が伝わりにくくなります。説明を終えてから資料配布をするなど手順をよく考え、また時間に余裕を持たせておくことが大切です。
3)安全面への配慮:安全な活動を選ぶことはもちろんですが、たくさんの子どもが集まると思いがけない行動をする子どもたちもいるので、十分なスペースを確保する、可能なら不要なものは会場から移動させておくなど、
4)小規模イベントからの挑戦:大規模なイベント実施に不安があるなら、クラス内でできる小規模なイベントやゲーム(日本語ビンゴ、ジェスチャーゲーム、ミニ会話リレーなど)から始めるといいと思います。
「大切なのは、子ども」とNga先生が話していたのがとても印象的でした。特に初等教育では、楽しさが学びの第一歩。子どもたちが楽しみながら学べるように、先生方も是非、学校でのイベント実施に挑戦してみてください。
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インタビューは日本語で行いました。本稿はインタビューの際の日本語を編集したものです。
写真はいずれもご本人からの提供です。
発行/国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
発行日/2026年2月27日
執筆/柿内良太(同センター日本語専門家)
編集/藤長かおる(同センター日本語上級専門家)
宮川裕士朗 (同センター日本語指導助手)
土谷リサ(同センター日本語事業担当スタッフ)
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