中学校教師のLê Thúy Nga(ガー)先生
20年前、ご主人が日本の大学の博士課程へ留学することになったのをきっかけに、日本語の勉強をはじめたガー先生。現在は中学校で日本語と英語を教えながら、語学の塾や海外留学したい人にアドバイスをする会社を経営したり、他の学校の日本語教育のアドバイザーをしたりしています。今回のインタビューでは、ガー先生が行っている中学校の日本語の授業についてお聞きしました。
日本語を好きになることが大切
-ガー先生が日本語を教えるときに大切にしていることは何ですか?
中学生の 子どもたちに日本語を教えるときに私が大切にしていることは、日本語だけを教えるのではなく、日本人のマナーや日本事情・日本文化などを一緒に教えることです。また、 日本語を教えるときも、ゲームをしたり、歌を取り入れたり、生徒たちが楽しみながらことばを覚えていけるようにしています。 そして生徒が日本語に愛情を持つこと、日本語を好きになることが一番大切だと思っています。
生徒に合わせ学年ごとに工夫する
-具体的にはどんな工夫をして授業を行っていますか?
6年生はまだひらがなとカタカナしか勉強していませんが、いろいろな日本の歌(「大きな栗の木の下で」「こぶたぬきつねこ」「グーチョキパーで何作ろう」など)を歌ったり、フラッシュカードを使ったり、ゲームをしたりしながら授業をします。生徒たちはいつも楽しく勉強しています。7年生・8年生は少し日本語がわかるようになりますから、教科書の文法などを教えながらコミュニケーションゲームをしたりします。 また、漢字を覚えることも大切ですから、フラッシュカードを使ったり、ゲームをしたりしながら授業をしています。
-9年生はどうですか?
問題なのは9年生です。9年生は高校受験がありますが、日本語の試験を受ける生徒は1クラスに2~3人しかいません。それ以外の生徒はだんだん日本語を勉強する意欲がなくなってきます。ですから、私は普通の授業をしながら日本事情や日本文化をよく教えます。例えば日本の冬やお正月の過ごし方について話したり、漫画やアニメを紹介したりしながら授業をします。日本の映画やテレビ番組を見て、日本人の考え方などを話すときもあります。それからクッキングクラスもよくします。生徒たちは食べ物が大好きですから、みんな楽しみにしています。クッキングクラスでは焼きそばやお好み焼きなどの料理を作りながら、いろいろな単語も勉強します。そして食べ終わった後で感想も書きます。このように生徒たちが日本語を好きになるように、学年ごとにいろいろな活動をしながら授業をしています。
必要な時にまた日本語を始められるように
-なぜ中学校では日本語を好きになることが大切だと思いますか?
中学校で日本語を勉強する生徒たちの中には 、高校へ入って日本語を勉強しない生徒もたくさんいます その場合、日本語はどうしても忘れてしまいます。でも日本語の授業に対して良い印象が残っていたり、日本語が好きな気持ちがあれば、将来また日本語が必要になった時に自分で日本語を勉強するようになると思います。ですから特に中学校では言語を覚えるだけじゃなくて、愛情が大切だと思います。日本や日本語が好きになることが一番大切だと思います。
-最後に、日本語教師の皆さんへメッセージをお願いします。
中学生や高校生の子どもたちに日本語を教えるのは大変だと思います。ですが、歌や日本文化、今流行っていることなどを授業に取り入れて、交流しながら日本語を教えれば、きっと楽しい授業になると思います。みなさん、頑張って楽しく子ども たちに日本語を教えてください。
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インタビューは日本語で行いました。本稿はインタビューの際のご本人の日本語を編集したものです。写真はいずれもご本人からの提供です。
発行/国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
発行日/2024年2月20日
執筆/津崎千尋(同センター日本語専門家)
編集/藤長かおる(同センター日本語上級専門家)
生駒美帆(同センター日本語指導助手)
藤村春菜(同センター日本語指導助手)
土谷リサ(同センター日本語事業担当スタッフ)
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