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ジャニーズがモチベーション! ~「にほんご人ネットワーク」を巡る中で見つけたもの~

 日越大学日本語プログラムアシスタントNga Phan(ガー)さんにインタビュー

 

今月は日越大学日本語プログラムアシスタントのNga Phan(ガー)さんにインタビューをして来ましたので、そのお話をお届けします。

 

 

始まりはワンピースと名探偵コナン

―ガーさんはいつから、どうして日本に興味を持ちましたか?

「私は小さい時によく漫画を見ていました。ワンピースとか、コナン、名探偵コナンです。日本の漫画はイラストがいいだけじゃなく、内容がとても面白いと思いました。それから、日本の映画やドラマもよく見ました。大好きな有名な俳優がいますよ。」

「にほんご人」になる人にはいろいろな経緯があるかと思いますが、中でもアニメ・漫画に影響されて日本に興味を持つ人は多いのではないでしょうか。大好きな有名な俳優さんはジャニーズの方とのことでした。

 

日本語・日本文化への興味から見つけた「よさこい」

―ガーさんはいつから日本語の勉強をしていますか?

「大学に入った時からです。でも、大学で勉強したのではありません。日本語が勉強できる語学センターに通いました。大学の専門は国際経済でした。」との答え。今のベトナムでは中学、高校、大学で日本語を勉強する人が多いので、そうした返事を期待していましたが、彼女の日本語学習経歴と日本文化経験は少し変わったものでした。日本に興味があってもみんなが日本語を勉強するわけではないですよね、と問いかけてみると、「私は日本文化が好きで、もっと知りたいと思いました。それで日本語の勉強を始めました。それから、大学の時に、社会人や大学生が集まって結成されているよさこいチームにも入ったんです。それでもっと日本の文化を知りたくなりました。その後、よさこいチームで日本のよさこいフェスティバルに参加して踊りました。それが私の初めての海外でした。」

 彼女が最初に入ったよさこいチームはHanoi Sennen Yosakoi Team (ハノイ1000年よさこい連)でとても有名なチームのようです。その後、このチームの中から独立したのがNakama Yosakoi Team(仲間よさこいチーム)で、彼女はこの仲間よさこいチームの一員として2015年8月に東京原宿で開かれた「2015原宿表参道元氣祭スーパーよさこい」に参加したそうです。そして、なんとその時このチームは新人賞を獲得しています。その演舞はこのリンク(https://www.youtube.com/watch?v=SW7ZreA7N54)から見られます。でも、彼女によるとこのチームは親しい友人同士で結成されていて、ほとんどが働いている人なので、スケジュールは厳しくなく、トレーニングも厳しくなく、楽しい社交場で週末のストレス解消にとてもいいチームなのだそうです。

 

 

日本は清潔でモダン!

―ガーさんの日本についての印象は?

「私の弟が日本でIT企業に就職したので、今まで7回旅行で日本に行っています。最初はベトナムとの違いにびっくりしました。日本は清潔でモダン。日本人は親切でやさしく、いつもおもてなしの心で接してくれました。」とのこと。ベトナム人もみんな親切ですよね、と意地悪な問いかけをしたところ、「確かにベトナム人は親切で、特に外国人にはいつでもフレンドリーだと思います。日本人は建前なのかもしれませんね。時々何を考えているのか分からない人もいました。ただ、日本のお店のサービスは気に入っていますよ。レストランではいつも『お水はいかがですか』と聞いてくれるし、コンビニでは『袋に入れますか』とか『温めますか』とか、日本人にとっては当たり前のことかもしれませんが、私たちにとってはうれしいサービスです。」

 

日本語学習への動機がつなぐ「にほんご人ネットワーク」

―ガーさんは今どんなお仕事をされていますか?

「日越大学の日本語プログラムアシスタントとして働いています。主な仕事は、大学生、大学院生のお世話、教師のサポート、カリキュラムなどの資料の作成、学生向けの文化イベントの実施、それに他の大学との連携業務などをしています。日本人の先生とは日本語で話しています。」彼女のオフィスには、日本人教師が2名とベトナム人教師1名がいて、一緒に仕事をされていました。実はここでの仕事は2カ月前に始めたばかりだとのこと。それまでも日本の会社のベトナム法人で仕事をされていたそうですが、そこではすべて英語で仕事をしていて、日本人とも英語で話していたそうです。彼女はその会社で仕事をしている間しばらくは日本語の勉強をやめていた時期もあったそうですが、2年前に日本への留学を考えるようになり、日本語の勉強を再開したそうです。それがベトナム日本文化交流センターで実施しているJF講座でした。今回は講座の受講生であったというご縁でインタビューをお願いしました。

 彼女が働く日越大学は、日本とベトナムの政治的信頼と友好関係の発展の中で生まれた「日本の協力による質の高い大学を設立するという構想」を基に、2014年にベトナム政府がベトナム国家大学ハノイ校の7番目のメンバー大学として設立した大学です。開学は2016年9月で世界水準の研究大学を目指すということで、まずは8つのプログラム(地域研究、企業管理、公共政策、ナノテクノロジー、社会基盤、環境工学、気候変動・開発、グローバルリーダーシップ)を擁する修士課程から始まりました。その修士課程では、全教員の約50%が日本人教員で構成されていますし、必修科目として日本語も教えられています。そして、今年、2020年10月に学部課程の日本学プログラムが開設されました。ガーさんはまさにこの学部開設のタイミングで採用されたのです。

 

ジャニーズがモチベーション!

―ガーさんの今後の計画は?

「この職場は環境がいいので、しばらくこの仕事を続けたいです。そして、機会があれば、ここの大学院に入って勉強したいとも思っています。これからもっと日本語がうまく話せるようになりたいですから。それによって将来いろんなことができると思います。映画を見るとき、字幕なしで見たいですし、日本に旅行で行って、日本人と日本語でおしゃべりしたいです。今はコロナの問題があるので、留学については考えていません。仕事はベトナムでするほうがいいとも思っています。そして、時々、旅行や出張で日本に行ければ、それが一番いいです。ここで仕事をしながら、大学生に日本語や日本の文化をもっと伝えたいと思うようにもなりました。将来、日本語の先生になってもいいかもしれませんね。」

―日本語の勉強ばかりだと飽きてしまったり、嫌になったりすることはないですか?

「さっきお話しした俳優さんが大好きなので、彼のコンサートに行って、彼が話している日本語が分かるようになりたいと思っているんです。それがモチベーションになって日本語の学習を続けています。」と最後は自分のモチベーションをしっかり分析してくれました。

ガーさんは漫画から日本語・日本文化に興味を持ち、大学に入ると語学センターで日本語の勉強を始めました。そして、よさこいチームに入り、日本の会社のベトナム法人で仕事をし、さらにJF講座で日本語を学び、今は日越大学で働いています。彼女の人生は日本に関わる組織を巡る旅のようです。そこにはまるで日本語を学ぶ「にほんご人」のための「にほんご人ネットワーク」があり、その結節点を巡ることで新しい出会いと可能性が生まれているかのようです。ガーさん、インタビューにご協力いただき本当にありがとうございました。

次回はこの「にほんご人ネットワーク」を辿って、さらに「にほんご人」のお話をお伝えしたいと思います。

 

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本稿はインタビュー内容を編集したものです。インタビューは日本語で行いましたが、通訳を介してベトナム語でやり取りした部分もあります。以下のサイトも参考にしました。

日越大学: http://vju.ac.vn/VietnamJapanUniversity.html
Nakama Yosakoi Team: https://nakamayosakoi.wordpress.com/

発行/国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
発行日/2020年11月20日
監修/安藤敏毅(同センター所長)
執筆・編集/片桐準二(同センター日本語上級専門家)
編集/森近美菜(同センター日本語指導助手)
   長田あさみ(同センターアジアセンター調整員)
翻訳/Phạm Thị Thanh Thủy(同センタープログラムアシスタント)
インタビュー通訳/Lê Kim Thanh, Nguyễn Thị Thùy Linh (同センタープログラムアシスタント)

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